スケーリングを深堀する

カウンセリング

スケーリングへの誤解

スケーリング・クエスチョン話をしていると、よく誤解されることがあります。

「最低を0点(or1点)最高を10点とすると、今は何点ですか?」という質問は、1点から順を追って10点までをしっかりと考えて、その10点になるまでの工程表を作るという誤解です。

この発想は企業で働いている人に多いようです。クライエントさんから「2点です」と言われたならば、では3点は?4点は?と考えて、最終段階の10点までを明確にするのです。

「それぞれの段階イメージを明確にして、一歩ずつステップアップすればいいのですよね?」と質問されるのです。

イメージやフィーリングで

スケーリング・クエスチョンはイメージやフィーリングで行うことです。クライエントさんはだいたい10秒くらいで答えてくれます。そのくらいでいいのです。なんとなく答えるわけです。2点と。

これは最低点をつけていないわけですから、「ちょっとは良い部分もある」ということを、クライエントはどこかで感じているわけです。おそらくぼんやりとですけど。

そのあいまいに感じられている”すでにできていること”や”うまくいっていること”に焦点を当てて、そこをもっと詳しく聞いて、膨らませていくのがミソです。

工程表がダメなわけ

クライエントさんが「2点です」といったとき、「では3点は?4点は?」とイメージすることは、未だできていないことに焦点が当たり続けます。

あれもできていない、これもできていない、というところばかりに焦点が当たってしまうわけです。そうやって目標が明確になることでやる気が出る、と考えるのは元気な人の発想です。

もし、そんなことをカウンセラーがしてしまうと、クライエントさんをディスエンパワーすることになりかねません。

だから、「2点です」と言われたならば、まずは、その2点分できていることにこだわります。何ができているから2点なのかと。

上手な人はどのように使うか

「森俊夫(2015)ブリーフセラピーの極意 ほんの森出版」 に、スケーリング・クエスチョンの上手な使い方が書かれていました。なるほど思うことばかりです。

タイミングはいつ?

クライエントの語る点数は、高いに越したことはないということです。なぜならば、クライエントは自分が付けた点数を覚えているものだから、という理由です。

ですから、良い点数を語ってもらえそうなタイミング(良い話やリソースの話を少しずつ引き出すことに成功したタイミング、笑顔が戻ってきたタイミング)で実施するのが良いようです。

カウンセリングの話が続かず、何の戦略もなく、ただ苦し紛れにスケーリング・クエスチョンをしているようではだめなのです。

何点を目指したいのかは必ず聞く

これはカウンセラーのためでもあるそうです。この質問をして、クライエントさんが「10点」と答えることはまずないとのこと。

しかし、時にカウンセラーは、クライエントさんの目指す点数以上のところに焦点を当ててしまうことがあります。そこにズレが生じてしまうのですね。盲点でした。

クライエントさんは「とりあえず5点くらいを目指せればよい」という感覚なのに、カウンセラーの方は「せめて7点くらいを目指したいのだろう」という感覚で話を進めてしまいがちです。

こうなってしまうと、5点では「まだまだ」となりがちです。そして、クライエントさんは、今の自分を認められていない感覚になってしまいかねません。

こうならないためにも、何点くらいを目指したいのか、というところの共通理解を図っておくわけです。

最悪(最低)は1点か0点か

最低点を1点から始める場合と0点から始める場合があるようです。おそらく、1点にするのは、前提として、「1点はあるよね」というメッセージがふくまれているのでしょう。

このクエスチョンを開発した一人である、インスー・キム・バーグは1点からはじめていたそうです。

最低点を0点にするというのは、0点であることも前提とする(保障する)ということでしょう。ほとんど0点と答えることはないようです。

0点と言われたら?

もし、クライエントさんから「0点」と答えたらどうするか。この場合は、サバイバル・クエスチョンというものをすればよいそうです。

サバイバル・クエスチョンとは、「0点状態なのに、どうやって今日まで生き抜いてきたのですか?あなたのどのような能力を使ってきたのですか?」という質問です。

0点の状態で、こんなにも長い間、あなたの中のどういう能力を使って生き延びてきたのか。その理由を「知らない姿勢で一歩下がってリードする」わけです。

このような「どうして?」「なぜ?」という質問は、多少しつこくしても、クライエントさんは嫌がりません。むしろ自分でも不思議になって「どうやって生き延びてきたのだろうか?」、「どんな能力を使ってきたのだろうか?」とよく自問して洞察が深まります。

そして、クライエントさんは、何らかの答えを出してくれるものです。この質問は、クライエントさんのリソースを引き出すよいチャンスになることがしばしばあります。

 

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