2種類の学び
”学ぶ”ということについて、私は2種類に分けられると考えています。
「物事についての学び(learning about things)」と「経験からの学び(learning from experiences)」の2種類です。
物事についての学び
「物事についての学び」は、いわゆる受験勉強や資格取得のための勉強が代表例です。これまで知らなかった知識をテキストを見ながら学んで、それを記憶に保存し、蓄積するような学びです。物事の仕組みを理解するといったことも、この物事についての学びといえます。
その学びが定着しているかどうかは、客観的に測定できて、試験の点数によって把握することもできます。
経験からの学び
「経験からの学び」は、まさに自分の経験から学ぶことです。それは、点数で測定できるものではありません。友情とは何か、年を取るということはどういうことなのか、といったことを知ることです。
こちらは、”自分自身を学ぶ”とか、”人生を学ぶ”といった類の学びですので、人によってそれぞれちがっているでしょうし、どれが正解ということもありません。そして主観的なものです。
「脳による学び」と「消化器系による学び」
この2種類を、もう少し違う表現をすると「脳による学び」と「消化器系による学び」に分けることができるように思います。
主に「物事についての学び」は「脳による学び」が、「経験からの学び」は「消化器系による学び」が対応しているように思います。
脳による学び
普通、学ぶということと深くかかわる器官は脳です。ここが破壊されてしまうと何も学べません。ですから、学びを研究するということは、脳を研究することと直結しています。
脳の数理モデルを作って動かしてみたり、様々な心理学実験を行ったりして、学びのメカニズムを研究します。認知、知覚、記憶、言語といった領域に分けて、それを詳しく研究します。
消化器系による学び
「脳による学び」と違った学びもあると思います。「消化器系による学び」とでもいえる学びです。こちらは、経験による学びを表現するときによく使われるのではないでしょうか。消化器系ですから、口、歯、舌、胃や腸に関連するメタファーで表現されます。
何らかの経験から学ぶというとき、学ばれる対象は、学習者にとって”食指が動く”ものなのでしょう。”甘くおいしい経験”をすることもあれば、”苦い経験”もあります。
カウンセリングの中で話される経験は、”苦い経験”や”腑に落ちない経験”、”消化不良の経験”などが多いと思います。
われわれは、その経験を何度も何度も”咀嚼し”、”味わい”、”飲み込める”ようにしなければなりません。そして、それが”栄養”になるためには、しっかりと”消化”して、そこから必要な栄養分を”吸収”する必要があります。その栄養分は血となり肉となります。そうなるためには、それ相応の時間が必要です。
”歯がたたない”内容は、詳しい人に”かみ砕いて”説明してもらうと、”飲み込み”やすくなりますし、”消化不良”を起こさずに済みます。そして老廃物や毒素は”排出”しないと詰まって苦しくなります。
カウンセラーとして学びを考えるうえでは、脳による学びだけでなく、消化器系のメタファーでとらえられるような学びの方にも注目したいものです。

