いやいや期のトリセツ

こころの成長

図書館にて

 本が好きなので図書館によく行きます。入り口付近に新刊がずらりと並んでいるのですが、その中で、ふじこせんせい著『イヤイヤ期のトリセツ』(2024,KADANSHA)という本が目につきました。

 ふじこせんせいは元保育士とのこと。保育士さんの知恵が詰まった本です。

イヤイヤ期とは

 子育ての中で、子どものイヤイヤ期は本当に大変です。イヤイヤ期というのは、第一次反抗期などとも呼ばれます。2歳前後の子どもの様子を表した言葉です。

 反抗期というと中学生あたりの反抗期が有名ですが、あっちは第二次反抗期。今回は、第一次反抗期の話です。

 第一次でも第二次でも、反抗期の子どもは、大人からすると反抗に見えるのですが、心理学的にみると、自立心が大きく成長している時期です。

イヤイヤ期のこども

 「自分はもはや赤ちゃんではない!」という自立心が芽生えてくるこの時期は、なんでも自分でやりたがります。

 しかし、それが思うようにできず、悔しくて怒って泣きわめきます。やりたくないことや、やる理由が分からないことに対して、ことごとくイヤイヤと反抗します。

 上手にできるように「こうしてごらん」、「こっちがいいよ」とアドバイスしてもイヤイヤ。アドバイスされることが気に入らないようです。

 だからと言って、自分でやらせてみると、今度はやりたくない、できないといってまた「イヤイヤ!」とギャーギャー騒ぎます。なだめてもだめです。そして最後は全身全霊で暴れまくります。手が付けられません。

 この時期は、どうすればいいのかと悩む保護者のかたも多いと思います。この本はその「どうすればいいの?」にわかりやすく丁寧に答えてくれています。

 食事、トイレ、お風呂、お店、歯磨きなど、イヤイヤ発生場面に応じて、どう考え、どう声かけすればいいのかが、たくさん例示されています。プロの仕事に感心です。

どうすればいいの?

 詳細は本書に譲るとして、スクールカウンセラーとして学んだことを考えてみます。

環境調整

 まずは、環境調整。子どもがしたいことができるように環境を整えてやり、またやってもらっては困るようなことは、それができないように工夫します。

 たとえば、高いところに上りたがるのなら、まわりの足場になるようなものをどかして、登れないような環境を作ります。

共感して気持ちを言語化

 これは、子どもの気持ちを受け取ってそれを言葉にするということです。子どもは自分の気持ちを言葉で表現する力はあまりありません。だから暴れるわけです。

  ですから、子どもの気持ちは大人側が推測して言い当てて、確認するしかないと思います。気持ちを言い当ててもらって分かってもらえると、それで気持ちが少し落ち着くようです。

その先の行動を示して気持ちを乗せる

 たくさんの選択肢を示すことです。洋服を着たがらない場合は、どの洋服を着たいのかいくつか並べて選択させてみる。

 身支度を嫌がるとき、やるべきことを細かく区切って選択肢を与えることで、やらされているのではなく、自分で選んでやっているという感覚にさせて、行動を起こさせるのもよいとのこと。

〇〇ごっこで気持ちを乗せる

 ベビーカーに乗らない子に対して、ベビーカーを新幹線に見立てて「出発しますよ」などと声をかけて気持ちを乗せる。

 指人形やぬいぐるみに登場してもらって、お話ししながら気持ちを乗せる。

 シャツなど身近なモノに描かれている動物の気持ちを代弁するかたちで声かけをして気持ちを乗せる。

「みてみて!」で注意を切り替える

 子どもは行動の切り替えが苦手なので、「みてみて」といって、違うところに気持ちをそらせて、させたい行動に導く。

見通しを持たせる

 この時期の子どもに見通しを持たせるためには、かなり具体的にほんの先の未来に焦点を当てた方がよいようです。時間の感覚が育っていないからです。

 たとえば、砂場から家に帰りたがらない場合、「もう帰るよ」よりも「お歌を歌いながら帰ろう」の方が具体的で気持ちが乗りやすいとのこと。

動作に効果音をつける。

 動作に効果音をつけると子どもは乗りやすいそうです。効果音とは「ごしごし」「ぶるぶる」「シューっと」「がぶっ」といったもの。

 そういえば小学校の先生も「しっかりぞうきんをしぼりなさい」というよりも、「ぎゅーっとしぼって!」という言い方の方が子どもたちに伝わりやすいと言っていました。

 まだまだいろいろな知恵が詰まっている本です。このような知恵は、おそらく小学校の低学年にも活用できると思います。とても勉強になる本でした。

 

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