カウンセラーを変えてください
カウンセリングをしていると、たまにクライエントから「カウンセラーを変えてください」という要望を受けることがあります。カウンセラーとしては難しい判断を迫られることになりますので、かなり心のエネルギーを使って考えることになります。
カウンセラーが個人開業をしているならば、クライエントはそのカウンセラーのところには通わず他を探すでしょうから、このような要望は出にくいでしょう。しかし、カウンセラーが複数いるような相談機関の場合、クライエントは他にもカウンセラーがいることを知っていますから、このような要望が出されることがあるのです。
確かに自分と合わないカウンセラーといつまでも我慢しながら会い続けるのは苦しいことだと思います。そして、相談機関ではこのようなことが起こらないようにインテーク面接(初回面接)をした後、できるだけクライエントにあったカウンセラーがカウンセリングを担当できるように努めているものです。
技術的なこと?
それでも「カウンセラーを変えて下さい」は起こります。この場合どう考えればいいのでしょうか。まずは技術的な理由です。カウンセリングを開始して2,3回目くらいでこのような要望が出ることがあるならば、そこにはカウンセラー側の問題があったのかもしれません。
たとえば、大学院生が訓練の途中でクライエントに会っているような場合、話の聴き方に問題があったり質問攻めにしてしまったりして、クライエントさんが困ってしまったということが考えられます。こういう場合は、指導教員が入って間を取り持ち適切な判断を下すでしょう。
外見?
ほかに考えられるのは外見です。たとえば服装や髪型が奇抜、たばこのにおいや体臭・口臭がきつい、不潔な印象を与えてしまうといったことが原因でクライエントから避けられてしまうことがあります。一般にこういうところは訓練の過程で注意されていきますから起きにくいのですが、なくはないです。
夏などはサンダルで歩いていたりしてそのままサンダルでカウンセリングをしてしまったり、真っ赤な下地にニコちゃんマークが大きくプリントされているTシャツを着てカウンセリングをしたために、クライエントが帰ってしまったということもあります。
心細いなかで何とか電車を乗り継いでやっとの思いでやってきたカウンセリングルーム。出てきたカウンセラーはノー天気な派手なTシャツ。この姿を見て一気に元気が奪われたとこのクライエントさんはのちに語っていました。
専門職の服装
昨今では服装のことをとやかく言うことはハラスメントにあたるとされています。しかし、カウンセラーにとって外見はとても大切です。落ち着いた服装や髪型、清潔感といったことはマナーとして教えていかなければならないというだけではありません。
その姿はクライエントさんを大切にしていることを伝えますし必要な専門的技術ともいえると思います。対人援助職には対人援助職としての姿というものがあるのだと思います。