いっつも!をとらえ直す

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保護者の愚痴

 「うちの子は、いっつも部屋を片付けない!」、「いっつも朝になるとぐずぐずする!」、「いっつもゲームをしている!」。こういう言葉をよく聞きます。子育てをしていると、「いっつも!」が多くなります。

 「いっつも」同じような問題を引き起こして、「いっつも」同じことを言われていているにもかかわらず、一向に行動が改まらないのですね。

 しかし、「いっつも」そうであるならば、そこには一つのパターンが出来上がっているということです。そのパターンを崩せば、何か違う行動が生み出されるかもしれません。

いっつも癇癪を起す子ども

 ある母親が、8歳の息子さんのことで、スクールカウンセラーのところに相談に来ました。話を聞くと、「息子がいっつも癇癪を起して家で暴れる」ということに苦慮している様子でした。

 もう少し詳しく話を聞いてみると,苦手な宿題である漢字練習,お風呂に入るとき,歯磨きをするときなど,この子にとって面倒くさいことをする前にかんしゃくが起きがちだそうです。

 そういう時に限って、母親も「早くしなさい!」、「いつまでぐずぐずしているの!」、「昨日もそうやって何もしなかったでしょ!」などと言ってしまうんですね。

その後は、「いっつも」どうなるの?

 そこで、次のような簡単な質問をしてみました。「かんしゃくを起こしたあと,息子さんはどうなるのですか?」例えば、お風呂に入る前は次のようになるそうです。

 息子がぐずぐすし始める→母親が急かす→息子はイライラしてモノを投げる→母親は危ないので身体をギュッと抱いて止める→息子は腕の中で暴れる→さらに強くギュッと抱く→しばらくすると息子はすっと力が抜けて泣き出す→少し緩めて抱く→息子はあきらめておとなしくなる→母親は腕をほどく→息子はあきらめてお風呂に入る→母親は見守る→息子はお風呂に入った後は比較的穏やか。その後はスイッチが切れたように寝る。

寝つきがよくなるシステムの発動

 最後はスイッチが切れたように眠ってしまうのだそうです。母親は「だから寝つきはいいんです」と話していました。

 「いっつもかんしゃくを起こす」。そればかりか「モノまで投る」ということですので、お母さんは対応に困っていたのでしょう。だいたい、困っていることを語る人のストーリーはここまでです。

 しかし、今回は、「その後はどうなるのですか」と質問し続けてみました。そうしたら、先ほどのようなパターンで展開し、最後は寝つきがよいという話。

 つまり、このパターンは「寝つきがよくなるシステムが発動している」と考えられるかもしれません。

変な提案

 だいたい、こういうパターンで展開するというのが分かったので、ある変な提案をしてみました。それは、「かんしゃくへの対応をショートカットする」という提案です。

 かんしゃくがまだ起きていないときから、息子を呼んで「ぎゅっと抱いて止める」というところからやってみることにしたのです。

 つまり,息子さんがかんしゃくを起こす前にぎゅっと抱っこをして,さらにいつもやっているように腕の中で暴れるよう指示を出して暴れさせるのです。

 そして、その後はいつも通りに対応していきます。息子がある程度暴れ疲れたら、腕をほどいて、お風呂に入るように指示を出してみるのです。

その後の展開

 母親はばかげていると言いながらも,少し楽しみだといって面接を終えました。そして,これを実行してみたところ,息子は面白がって腕の中で暴れて,その後は,かんしゃくを起こさず,お風呂に入ることができるようになっているということです。

 そして、面倒なことへも取り組みも早くなったそうです。母親もかんしゃくへの対応を省けるので助かっているということでした。

パターンを崩す

 「いっつも同じ問題が起きていて、一向に変わらない!」という場合、対応している側の対応の仕方が、相手の問題行動を維持するシステムに組み込まれていることがあります。

 「早くしなさい」「いつまでぐずぐずしているの」という言葉かけが、子どもの気持ちを逆なでして行動をエスカレートさせていくのです。火に油を注いでいるわけです。

 多くの場合、自分の対応も悪い、自分の対応を変えれば相手も変わるかもしれない、と頭の片隅で気づいていることもよくあります。

 だた、どうしていいのかわからないのですね。そういう場合は、問題が起こった後、どうなっていくのかというところまでのパターンを書き出してみると、案外これまでと違ったものの見え方がすることがあります。

 そして、これまでとは違ったパターンで対応してみようという発想になることもしばしばあります。

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