指導モードでの失敗

学ぶということ

大失敗の指導

 ある大学の大きな教室で授業をしていました。およそ200名の受講生がいました。その中で帽子をかぶっている学生が数人いましたので、帽子を取るようにを全体に向けて声をかけたのですが、ある女子学生は帽子をしたままでした。

 そこで、その学生に向かって帽子を取るようにと少し強めに伝えたところ、その学生は顔を真っ赤にして帽子を取りました。そうしたら二つの大きなはげがありました。円形脱毛症だったようで、これを帽子で隠していたのです。

 本当にかわいそうなことをしました。授業後に謝ったのですが、その学生は「自分も帽子をかぶって授業を受けるのはよくないと思ってた。なかなか帽子を取れなかったけれども、良いきっかけになった」といってくれました。恥ずかしい思いをしたでしょうから、なかなか、こうは言えないと思います。もう少し配慮できなかったかととても反省しました。

授業で爆睡する学生

 大学で授業をしていると、眠気と戦っている学生を見ることもあります。寝てはいけないと思いながらも、どうしてもまぶたが重くなるんですよね。そんな時は、板書を増やしたり、ちょっと質問をして緊張感を高めたりすることもあるのですが、ほぼ効果なしです。

 ある時、一番前の席に座って爆睡している学生がいました。次の週も同じように目の前で爆睡です。時にいびきもかきます。さすがにこれは注意しなければなりません。しかし、帽子の件もありますので、「あのね、目の前で爆睡されると授業がやりにくいのだけれど」とそっと話しかけてみました。

 すると、本人は「ごめんなさい。病気で薬を飲んでいるので、どうしても眠たくなってしまうのです。だから先生の目の前に行けば緊張感で起きていられるかと思ったので」ということを話していました。投薬治療を行っていたようです。

丁寧に確認してみると

 その後は、第1回目の授業が始まるときに、この円形脱毛症の失敗の話をした後、「この話と同じように、何らかの理由で配慮してほしい人は、授業後に直接またはメールで申し出るようにしてください」と伝えるようにしました。

 すると、やはり聞いておいてよかったということがあります。上記のようなの円形脱毛症の症状や投薬治療をしている学生、パニック症なのでどうしても苦しくなってしまったら教室から一時退出させてほしいという学生もいました。

ちょっとした配慮

 私は教壇に立つと「先生」になってしまいます。周りの目もありますので、「指導モード」にもなってしまいます。ですから最近では、合理的配慮とか人権ということを、少し頭に入れておこうとよく考えるようになっています。

 

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