心にたまったものと吹き出もの
体調が悪かったり不規則な生活を繰り返していると吹き出ものができてしまうことがあります。この吹き出もの、体調不良ばかりではなく、心にため込んだものが噴火寸前のものとして現れることもありそうです。
スクールカウンセリングで話されること
スクールカウンセリングの保護者面接では、最初は子どものことが話されることが多いものです。しかし、回を重ねていくにつれて、保護者自身の仕事のこと、嫁姑問題、自分のこれまでの生き方など、様々なことが話されるものです。
実は、そちらをメインに話したかったのではないか、と思うこともしばしばあります。そのあたりが整理されていくと、子どもの問題も好転することが多々ありますので、私は熱心に聴くようにしています。
ある保護者の吹き出もの
ある保護者は、不満や怒りが爆発寸前という感じで来談されました。子どもが言うことを聞かず、夫は無関心。夫の親は自分たちは何もしないのに口ばかり出してくるなど、次から次へとお話をされました。それはいいのですが、私が気になったのは、この人の鼻の頭にできた真っ赤な吹き出ものでした。熱気を帯びて頂上は白い膿がたまっているのでしょうか、噴火寸前という感じです。
傾聴し続けていると
話の上手な方だったので、すぐに吹き出もののことは忘れて、話に聞き入っていました。それから30分ほどたったでしょうか、ふと吹き出ものをみると、先ほどの真っ赤ではなく、すこしピンクっぽくなって、大きさも小さくなっているように思われました。
それから10分
さっきのピンクよりももっと肌色に近くなってきて、明らかに最初のころより小さくなっていました。この方は心の中にある怒りや毒気、怨念のようなものをずっと語っていましたので、話をすることで、噴火のエネルギーが収まってきたかのかもしれません。
担任面接の後で
この方は、その後、今度は信頼する担任の先生と面談の予定がある、ということで教室に向かいました。
それから40分ほど経過したでしょうか。担任との面談を終えたこの方と、たまたま玄関先で会いました。表情はすっかり明るくなっていて、来談した時とはちがい、ずいぶんと柔和な雰囲気になっていました。そして、あの吹き出ものは、なんとすっかり消えてなくなっていました。
心の状態が身体に出る
あとで担任の先生に訊いてみたところ、やはり担任の先生との間でも、かなり家庭的なことを話していかれたとのこと。ここでも話を聞いてもらったようでした。
この方は、とても表現が上手な人でしたから、心のマグマが噴火寸前であるということを身体でも表現していたのでしょう。そのマグマをうまく言葉にする力もあったのだと思います。
そして、担任とスクールカウンセラーがそのマグマの受け皿となることで、おそらく身体で表現されていた噴火寸前の状態は収まっていったのだと思います。
このマグマをどう処理するの?
さて、スクールカウンセラーはこの受け取ったマグマをどのように処理するのでしょうか。正解は、「受け流す」です。受け取りはしますが、その後は、心に留めず流します。”受け流しの術”です。それでいいのです。
自分が溜めて吐き出した愚痴を、カウンセラーがいつまでも覚えているのはあまり心地よいものではありませんからね。
聴くことと浄化作用
傾聴することは、心を浄化する作用があることはよく知られていますが、そのことがよくわかる出来事でした。
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