お正月にて
新年は、親族が集まるお家も多いと思います。うちは、私の家族、次男の家族、三男の家族の3つの家族が実家の両親の家に集まります。総勢13人。かなりにぎやかです。
みんなそれぞれ微妙に年代が違う人たちの集まりですから、話をしていると新しい発見があって、なかなか面白いです。
ある年のお正月。一番小さな甥っ子が「こびと図鑑」なるものを持ってきました。何ともユーモラスで、ただちょっと憎たらしい感じもあって、目が離せなくなりました。
「ばーばは、これを見た!」
私が熱心に「こびと図鑑」を見ていると、横から母がやってきて「こびと図鑑」をじーっと見始めました。そして一言「昔、こういうの、見たことがある」。
さて、大騒ぎです。「そんなのいるはずがない」、「これは嘘の話だよ」と孫たちは、祖母を説得し始めましたが、祖母は頑として受け付けません。
こたつの足から
ばーばが10歳くらいの時、こたつの足のところから、いきなりペラペラのこびとが4,5体、次々に出てきたのだそう。ばーばはびっくりして動けなくなったそうです。「確かにあれは本当のこと。こういうこびとだった」と譲りません。
お嫁さんたちは、ばーばの話を聞いて、半分面白がって「こびと図鑑のようなこびとを見たことがあるという人は結構いるんですよ」、「その話は多分本当だと思います」と加勢していました。
私はすっかり忘れていましたが、実は昔々、40年以上前に、一回だけですが同じ話を母から聞いたことがありました。こたつの足からペラペラのこびとが出てきて、それを見たことがあるという話は、昔と同じでした。
だから、私も母の言うことは本当なのではないかと思っています。幻覚というやつかもしれませんが、そういうことはあるでしょう。
実は私も・・・
私はこびとを見たことはありません。でも、コスモスから声をかけられたことがあります。お花のコスモスです。4年ほど前でした。
庭で草むしりをしていたところ、急に「見て見て、私たちきれいでしょ」と声をかけられたのです。ハッとして目の前のコスモスを見たら、なんと、一つひとつのコスモスが笑顔でこっちを見ているのです。
学校では、子どもたちがワーッと集まってきて「先生、先生」と子どもたちから取り囲まれることがあります。その時は、たくさんの顔がニコニコとこちらを向いているのですが、それと同じような感覚でした。
いったん目を離して深呼吸
心理学を生業にしていますから、幻覚ということがあることは知っています。ですから、この時は「あ!幻覚だ。こういう幻覚も見るのだな」と冷静に受け止めていました。
そして、一度コスモスから目を離して、深く深呼吸をして、もう一度コスモスを見ました。でも、コスモスたちはやはりニコニコと私に笑いかけています。
さらに、コスモスの奥には、ほおずきが植わっていたのですが、そのほおずきはとっても恥ずかしがった表情をしていて、その下にあったマリーゴールドは、なんだかふてくされた表情をしていました。
これは、あまりにも不思議だったので、その日に記録もしました。
さよならコスモス
その経験は一度だけでした。しかし、それ以来、コスモスを見ると、コスモスが今にも声をかけてくるような錯覚に襲われます。ニコニコと笑顔を向けてくれるのではないかと。
そんな予感がするのです。我ながらおかしなことだと思います。でも、心が豊かになったようにも思います。今にも花と話ができそうなんですから。
その年は、毎日コスモスに声をかけていました。そのたびにコスモスは揺れて答えてくれているようでした。しかし、ある日の朝、昨日までは生き生きとしていたコスモスの魂のようなものがなくなって、どこかに行ってしまったことが分かりました。
これも不思議なのですが、やはり確信できたのです。「ああ、どこか遠くに行ってしまったんだな」と。
違う世界があるのかも
私たちの世界は、そういう次元の違う世界と同時並行で進んでいるのかもしれません。ばーばや私のような経験をしたことがある人は少なくないのではないでしょうか。
こういう話を「精神の病」という文脈ではなく、「心の健康」という文脈で研究をするのも面白そうだと思ったりしています。