心因性の頭痛を作り出した経験

カウンセリング

高速道路にて

 高速道路を使って通勤しています。高速道路を走っていると、ときに、前の車やトラックがからはじかれた小石が車のボディにあたることがあります。コツンと当たる程度であればいいのですが、こちらもかなりのスピードで走っていますから、その衝撃は驚くほど大きいことがあります。ある時、小石がフロントガラスにぶつかって、その物音と衝撃でびっくりしたことがあります。その瞬間から、首をすくめて肩は緊張してガチガチに固まってしまいました。

フロントガラスの左上に傷が

 フロントガラスを確かめると、運転席から見て左上、ちょうど助手席側の上の方に、小石の衝撃で傷ができてしまいました。こういった恐怖体験の記憶というものは何度も反芻されるものです。その直後から「すごい衝撃だった」、「こわかった」、「ガツーンという感じだった」、「目から火花が出た感じだったな」などと、何度も傷を見ながらその体験を反芻していました。

左目の奥がチカチカしてきた

 そういう反芻を15分ほどしていたところ、次第に左目の奥の方がチカチカしてきて違和感が出てきました。何度も左目のまばたきして、そのチカチカを緩和させようとしたのですが、その感覚は弱まるどころか、大きくなって広がっていき、やがて脳の左側に強い頭痛が起こってきました。

心因性頭痛の発症

 私は頭痛もちではありません。ほとんど頭痛は起きません。ですから、この頭痛が起き始めてから、私は大変興味深くこの頭痛を体験し、その原因を考えていました。この頭痛は、間違いなく小石の衝撃によって、私自身が引き起こしたものだからです。私のこころが原因となって起こった頭痛、つまり心因性の頭痛だと思ったのです。フロントガラスの左上にあたった小石が、私の顔の左上に衝撃を与えたのだと考えられそうです。

身体は拡張する

 身体というのは拡張することが知られています。道路を歩いていてガムを踏みつけたら、靴の裏にガムを踏みつけたはずなのですが、われわれは、直接、足の裏にガムがくっついたような粘りを感じ取ることができます。靴の裏まで身体が拡張しているのです。車はその典型例です。狭い路地を前にして、車で通れるかを判断するとき「自分なら通れる」と感じます。「この車なら通れる」ではなく、「自分なら通れる」と感じるのです。そして、身を縮めてその路地を通過します。車で通過しているわけですから、運転席で身を縮めても意味はないのですが、どうしてもそうしてしまうのです。やはり私の身体が車のボディにまで拡張しているので、自分が縮こまってしまうのです。

意味が分かれば症状は消える

 ということで、この頭痛は、車が受けた場所と同じ場所を象徴する私の身体部位が傷を負ったことに原因がありそうです。心因性の反応はその意味を理解できれば消えていくという理論があります。ですから、この頭痛の意味を了解できた私は、しばらくしてこの頭痛は治っていくだろうと予想していました。すると、それから15分ほどしたころには、すっかり頭痛は消滅してしまいました。自分が頭痛を作り出すことができるし、その頭痛を治すこともできた経験でした。

自己暗示の効果も?

 もちろんすべての頭痛が心因性のものではありませんので、意味を了解するだけで頭痛が治るわけではありません。しかし、この出来事は、反芻することが自己暗示として作用したようにも感じる出来事でした。わずか30分の出来事でしたが、貴重な経験となりました。

 

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