男性は怖いというクライエント
カウンセリングをしていると、ときに、「男性(あるいは女性)のカウンセラーは嫌です」というクライエントと出会うことがあります。本人は本当に怖がっていて、その拒否感は強いものがあります。このような人は、男性(あるいは女性)に対して、かなり悪いイメージが心に広がっているようです。
イメージとは
イメージというのは、何かを想像することだと考えられています。作品の仕上がりをイメージしたり、自分の将来をイメージしたりといったときに使われる言葉です。ただ、心理臨床の世界では、もう少し違った意味があります。それは、イメージしていることがまるで本当であるかのように感じられるということです。そのようなものとしてイメージという言葉を使用します。
怖くて2階に上がれない
4,5歳くらいの幼児は、夜、一人で2階に上がらなければならないとき、それをものすごく怖がることがあります。真っ暗な2階には、おばけがいるのではないか、不審者が息をひそめているのではないかとイメージしてしまうのです。すると、2階からかすかに人の気配を感じたり、何か物音が聞こえたような気がしはじめます。そうなると、本人もおばけなどいないと分かっていても、役に立ちません。イメージとは、このように現実とイメージの区別がつかなくなってしまうことを意味するのです。
象徴とは
現実とイメージをなかなか区別できないことがあるのですが、これを区別できる場合が象徴です。消しゴムを電車に見立てて夢中になって遊ぶ幼児は、消しゴムが電車ではないことを分かっています。それが区別できないということはありません。しかし、消しゴムをあたかも電車であるかのように見立てて、夢中になって遊ぶことができているのです。象徴的な世界で遊べるということは、現実とイメージを分けつつごっこ遊びもできるようになっていくのです。
イメージと現実の区別
先の男性が怖いクライエントの場合、イメージの世界が強くなっていて、現実がそれに圧倒されていると理解できます。ですから、「怖い男性イメージ」と現実(怖い男性だけでなく、やさしい男性も頼りになる男性もいるということ)を区別できるようになることは、乗り越える必要のある一つの山となるでしょう。ですから、一度、男性セラピストと会って話をしてみるということは、それだけで治療的なかかわりになると言えます。
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