2種類の学び

学ぶということ

2種類の学び

 一般に学びというと、試験のための学びや資格取得のための学びを挙げることができると思います。ただ、カウンセリングという分野においては、「学び」を2種類に分けて考えるとクライエント理解が深まると思います。「ものごとについての学び」と「経験からの学び」の2種類です。

知識についての学び

知識は連結している

 「物事についての学び(learning about things)」というのは、一般にいう学習のことです。新しい知識を学び、新しいスキルを学んだりすることをいいます。教科書やテキストに書かれている内容を学ぶことは、知識についての学びとなります。ヒトは成長するにつれていろいろな知識や概念を学んでいきますから、頭の中に非常にたくさんの知識のつながりができていていると考えられています。知識について学ぶということは、すでにある知識のつながりの中に新たな連結を作り出し、その新しい知識がすでにある知識の中に取り込まれて、知識同士のつながりが豊富になっていくことだと考えられています。

知識は領域でまとまっている

 知識は連結していますが、いい加減に連結されているわけではありません。ある場面の中で実際によく使われる知識同士の連結が強くなりますし、強く興味を持っている知識同士のつながりは強くなります。当然ですが、英語を話すときには英単語や英文法の知識が活性化されますので、それらはつながってひとまとまりになっていると考えられます。

 

経験からの学び

気づきによる学び

 「経験からの学び(learning form experience)」というのは、いわゆる気づきによる学びということです。これは、「物事についての学び」のように、外部にある新しい知識を自分の内側に取り込むというのでははありません。そうではなくて、自分の経験の中から、自分の経験を通して、ある気づきを得るといった学びです。例えば、日常生活を送っている中で、ある時、ふっとひらめくようなものをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。「ああそうだったのか!」「もしかしたらこういうことかな」といったような学びです。この学びはテキストや教科書から学べるものではなく、また、他人から教えてもらって学べるものでもありません。そして、カウンセリングでは、この「経験からの学び」を大切にしています。そのため、クライエントさんがどのようなことを経験しているのか、それがどのような意味として感じられるのかということを一緒に考えていこうとします。

知っていたけど気づかない領域

 学びというのは知らないことを学ぶ、知らないから学ぶと思われがちですが、すでに知っていたけど気づいていたなかったことに気づくといった学びもあります。「経験からの学び」というのは、そういったものが少なくありません。そして、その学びは、気づいた後に、「そのことはすでに知っていたような気がするなあ」といったものも少なくないのです。「なんだ、答えは自分の中にあったのか」といったように、自分のことを信頼する気持ちも伴うような学びであったりします。カウンセリングでの学びは、このような感受性が高まり、自分を信頼するような学びにつながっていくことも多いものです。

まとめ

 今回は、2種類の学びについて考えてみました。特にカウンセリングでは、「経験からの学び」ということを大切にしていくことをお伝えしました。

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