スクールカウンセラーの専門的不適応感

スクールカウンセリング

学校になじめないスクールカウンセラー

 週に1日ですがスクールカウンセラーとして働いています。スクールカウンセラー(以下、SC)は、複数の学校を掛け持ちで担当しますので、一つの学校には週に1回や月に数回という間隔でしか働けません。これは週に2日勤務だろうと、3日勤務だろうと変わらないと思います。担当する学校数がその分多くなるからです。

 ですから、学校の先生たちのことや子どもたちのことについては、なかなか深く知ることはできません。その学校の特徴もよくわかりません。SCは学校に到着した途端、遠い親戚の家で過ごすような居心地の悪さや、その場への馴染めなさ、浮いた感じを心に抱いて勤務するように感じるものです。私はSC歴が長いのですが、そんなSCライフを送っています。

気が重い勤務日

 上述したような勤務形態ですから、SCの日は朝からとても気が重くて「学校に行きたくないなあ」、「休みたいなあ」と思います。学校に行ってしまえばそんな気持ちは薄らぎますし、帰宅時などは、行って良かったな、今日は良い仕事ができたなと充実感をもつこともあります。でも次の週になるとやっぱり「行きたくないなあ」が始まります。我ながら進歩がありません。

学校に到着すると

 SCは、子どもたちが登校を終えて、1時間目が始まったあたりに出勤することが多いと思います。すると、教室では子どもたちが授業をしています。私はちょうど子どもたちが授業をしている姿を横目に見ながら出勤することになります。教室にいる子どもたちや先生たちにとって、トボトボと外を歩くSCの姿はとても目立つと思います。ですから、私は、その人たちの視線を気にして、緊張感から少し歩みを早めて校舎の中に入っていきます。このように、学校では感覚過敏なビクビク状態になっています。

職員室に入るとき

 出勤したらまずは職員室に入るわけですが、これがなかなか気が重く、あいさつの声が上ずってしまわないように注意しながらも、その緊張感を隠すためにニコニコしながら入室します。そして、「おはようございます」というのですが、うまく声が通らず、あいさつが数歩先にポトンと落ちてしまうような、だれにも届かないような情けない声になってしまいます。

 職員室にいる先生たちは、忙しそうにパソコンを見つめたり資料を読んでいたりしますので、このようなあいさつが聞こえないのは当然でしょう、あいさつが返ってこない時もあります。そんなときは、自分の声が小さかったかなと反省しつつ、身の縮むような思いで自分の席をめがけて一直線に歩いていきます。やっと席に座ると、近くの事務員さんや用務員さん、教頭先生などがあいさつをしてくれたり笑顔を見せてくれたりして、ようやくそこでホッとすることになります。そして、少し気持ちを落ち着かせて、そそくさと今日の予定を確認して、仕事開始です。

これってまるで学校不適応?

 学校に到着してほんの数分の出来事を、やや極端に描写してみました。しかし、スクールカウンセラーをしている人は、このような気持ちで働いている人も少なくないのではないでしょうか。人の視線が怖い、仲良しがおらずどのようにしてその場にいればよいのかが分からない、つらい気持ちでもニコニコしている、先生たちは冷たい、学校に行きたくない、安心できないといったような気持ちですから、これって、まるで学校不適応の心理状態です。SC自身が、教室になじめない子どもや不登校の子どもたちと同じような心理状態になっていると言えそうです。

 このような子どもたちは、学校に行ってしまえば何とかなるし、帰宅時には元気になっていることも多いものですが、そんなところも同じです。スクールカウンセラーにとってのその不適応の意義については、他のところでも考えてみました。興味のある方はご覧ください。

 

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