スポーツの日に思い出したこと

学ぶということ

スポーツの秋

 スポーツの日です。私は「体育の日」の方がなじんでいますが、2020年に開催予定だった東京オリンピックの年から「スポーツの日」になったとのこと。最近変わったことすら、すっかり忘れています。

ある体育の授業

 スクールカウンセラーをしている空き時間のときに、グラウンドの体育の様子を眺めていました。雲一つない気もちの良い秋晴れの下、中1の生徒たちが、学級対抗リレーの準備をしていました。

 2クラスありますので、対戦は1組vs2組で男女混合のようです。盛り上がりそうです。青春です。女子はトラックの半分100m、男子は1周の200mを、女子→男子→女子→男子、という具合に走るようです。

えっ?先生チームも?

 ふと見ると、男性の若手体育教師2名が、やたらと気合を入れて準備運動を開始しました。どうやら教師チームも参戦する模様。こちらは、教師1(1周)→教師2(1周)→教師1(1周)→教師2(1周)という具合にバトンタッチするようです。いったい、何周走るつもりなんでしょうか。

よーい、スタート

 3チームが並んで、「よーい、スタート!」。子どもたちは必死に走りますが、体育教師チームはゆっくりと子どもたちについていく余裕があります。かなりゆっくりでしか走れない子や、バトンを落としたりする子もいたりするので、疲れが出てきた教師チームとも、結構いい勝負です。

最後はみんな必死

 最後まで3チームは接戦でした。アンカーまで行くと、子どもたちの応援のボルテージは最高潮に達していました。授業中のはずなのに、なぜか校舎のあちらこちらからも応援の声。保健室登校の子どもたちも、養護教諭の先生と庭まで出て観戦していました。みんな注目していたんですね。

 教師チームもさすがに疲れが出ていますが、ここまで来たら負けるわけにはいきません。全力を振り絞って必死の様子でした。

教師チームの負け

 結果は教師チームが3位で終わりましたが、3チームは、ほとんど僅差といってもよい勝負でした。ゴールした教師たちは倒れこんだまま動けず、二人ともグランドに大の字になってしましました。しばらくして、やっと立ち上がって授業が終わりました。

ダメな自分をまるごとぶつける

 実は、この二人は、学級経営がうまくいかなかったり、生徒の気持ちがつかめないと言って、職員室ではよく悩んでいました。ベテランの先生たちから慰められたり、発破をかけられたりしていましたが、いつも悩んで浮かない表情だったので、私も気にかけていました。

 おそらく、この教師たちは、そんなダメな自分を丸ごと子どもたちにぶつけたのでしょう。授業などそっちのけでしたからね。そして、その気持ちは、子どもたちに伝わったのではないかと信じたいものです。少なくとも職員室では、この若手2人の熱い姿は話題になって、良い授業だったという声もたくさんありました。子どもたちも、家に帰って、親にこのことを話したのではないでしょうか。そして、そんな教師たちを保護者の人たちも応援したくなるように思います。

 スポーツの日に思い出した出来事でした。

 

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