星を見るときの不思議

カウンセリング

テラスから星を眺める

 夏などは家のテラスから星を見るのが好きです。田舎なものですから、それなりにきれいな星が見えます。さすがに満天の星空というわけではないのですが、空は広く、あたりは暗く、人もいないので、ゆっくりとビール片手に夜空を見上げることができます。そこでいつも不思議だなと思うことがあります。

あそこに星がありそう

 夜空を見上げていると、もちろん星が見えます。ただ、星がないあたりをじーっと見ていて、「なんとなくあのあたりに星がありそうだな」と、さらにじーっと見ていると、なんと、なかったはずのところに、ちゃんと星が現れてくるのです。目が慣れただけかもしれませんが、かなりの時間そこで過ごしていますから、すでに目は慣れているはずです。見えてないのに、信じてみていると見えてくる、何とも不思議で面白く感じます。

バウムテストにて

 バウムテストという心理検査があります。一本の木を描いてもらうという単純なものですが、奥が深くて比較的よく使われています。

 これを創始した心理学者のカール・コッホは、「描かれた木をジーッと見ていると見えてくるものがある」と語っています。コッホの言う「ジーッと見る」は夜空に星を探すときの、あのジーッと見るのと同じではないかと思ったりします。

バウムをジーッと見る

 我流になりますが、ジーッと見るというのは、見えない星を見るように、そこに、描いた人の心の動きが宿っているはずだと信じて見ることだと思います。そして、「集中して自分と対話しながら見る」あるいは「楽しんで疑問を持ちながら見る」という感じです。鑑賞に近いといえるでしょう。

 そうすると気づくことがあります。「書き始めは慎重だけど、だんだん雑になってくるな」、「一か所だけ描いては消し、描いては消しを繰り返している。こだわると先に進めないのかな」、「上が重たくて幹だけでは支えられないようだ」などです。

バウムにもとづいた会話

 描かれた木を見ながら、カウンセラーが感じることとを丁寧に言葉にしてクライエントに返し、それを受けてクライエントがまた感じたことを話すという交流をしていると、悩みから少し離れた語りが促進されて、また違った雰囲気が醸し出されてくるものです。そして、そのような会話そのものが、悩みを心に収める働きとなって、持て余していた問題を、少し余裕をもって見つめられるようになることもあります。

 

 

 

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