セラピストの身体感覚
カウンセリングでは、クライエントが何を考え、どのように感じているかといったことを理解しようとします。しかし、それは他者の思考や感情ですから、なかなか理解しにくいものです。
そんな時セラピストは、クライエントと会っているその場の雰囲気の中にクライエントの気持ちが混じっているかもしれないと空想したりします。
あるいは、自分のこの息苦しい感覚はクライエントが感じている、生きることへの息苦しさの感覚が伝播してきたのではないかとぼんやり考えたりすることもあります。
負の感覚こそ
セラピストが与えるどんな助言も受け入れないので、セラピストが八方ふさがりになって無力感でいっぱいになることがあります。そんなときは、「このみじめな無力感こそ、クライエントが味わってきたことなのだろうか」と空想することもあります。
そういう空想が働くと、この負の感覚こそを味わいつつ、話を続けていこうという気になります。なんとか生き残る手がかりを探そうともがいているうちに、新しい展開が開けてきたりします。
身体感覚への気づき
ですから、カウンセリング中の自らの身体感覚に敏感であろうとしていた時期がありました。
そして、カウンセリングがうまくいき、クライエントさんも満足してくれた時のカウンセリングでは、ある身体感覚に包まれることを発見しました。
うまくいっているときの感覚
それは、全身がピリピリしてきて、まるで炭酸水の中にでもいるような感覚です。小さく細かい炭酸の粒がパチパチとはじけて、それが皮膚の表面でピリピリした感覚になるのです。それが全身を覆うのです。
カウンセリングの最中に、そんな感覚になってくると、この時間はうまくいっているのだろうと感じられていました。
おかしな感覚だなと思って、それはそれで忘れていたのですが、この感覚と同じことが書かれている本に出会いました。
気功の本
「夢が勝手にかなう「気功」洗脳術」(苫米地英人)という本です。「へー、そんなことがあるんだ」と思い、kindle unlimitedで無料だったので、パラパラとめくっていたのです。
すると、ある気功法や呼吸法を行った後、右手の指を伸ばして揃え、左手の手のひらに右手の指先を向けて、ゆっくり動かすと、左手の手のひらにかすかな風と共に、敏感な人は、ビリビリと気による刺激を感じると書かれていました。
試しにやってみたところ、確かに微弱でしたがそのようなものを感じました。私の場合、”ビリビリ”という強い感覚ではなくて、”ピリピリ”とか”チリチリ”という微弱な感じでした。この感覚は人によって違うそうです。
思い出した感覚
そして、この”ピリピリ”とか”チリチリ”という感じは、カウンセリングがうまくいっているときの例の皮膚感覚と似ているようでした。
そう考えると、私のカウンセリングがうまくいっているときは、良い「気」に包まれるのかもしれません。
P循環という心理療法
良い「気」が循環することを重視する心理療法があります。日本のマスターセラピストの一人である、東豊先生という大学の先生が提唱しています。
pとはpositiveの意味。ポジティブな気をクライエントとの間に循環させるというものらしいです。非常に有名なサイコセラピストの先生が言っていることと、自分がカウンセリングの中で感覚してきたことがリンクしているようで面白いと思っています。
それとともに、「気」というものがとても身近に感じられるようになりました。