描画を見る方法

カウンセリング

心理検査

心理検査の一つに描画法というものがあります。絵を描いてもらうとそこに描き手の心理が反映されるという考えに基づいています。

木を描く「バウムテスト」や家・木・人を描く「HTPテスト」など、いろいろなものが開発されています。

描画をどう理解するか

私はこの専門家ではありません。子どもが「絵を描きたい!」というとき「それではやってみようか」という感じで導入する程度です。

それでは、この描かれた絵をどのように見ればいいのでしょうか。

教科書的なポイント

バウムテストであれば、木が用紙の中でどのように配置されているか。枝の様子は?樹冠は?幹の様子は?根っこはどうなっている?全体のバランスは?という感じで見るポイントがあります。

幹には傷はないか、枝の先はどうなっているかなど、それぞれのポイントを見る指標もあるようです。

この場合、描き手(クライエントさん)と切り離して、描画そのものから読み取れることを読み取るという構えで進められていきます。

描画は補助ツール

描画はクライエントさんを理解する補助になるものです。それについては、マニュアルの本などが参考になります。

私は、ポイントや指標と照らし合わせて細かく見るだけでなく、描かれた作品を見ながら自己内対話をすることが多いです。

自分が受け取っているクライエントさんの心象(臨床像)を、よりしっかりと把握するためにその作品を見ながら自己内対話をするのです。

臨床像

他者と会うとき、われわれはその人の体格、表情、目つき、服装や持ち物、髪形、振る舞いなどから、その人の印象を受け取っています。

サイコセラピーの用語で臨床像などと言います。例えば次のようなものです。

40代女性。服装は清楚なワンピース姿で背筋をピンと伸ばして姿勢を崩さず話す。髪は後ろで束ねてキリっとした表情でハキハキ話す。

30代女性。身体が細くややうつむき加減なのでなかなか目が合わない。声は小さく一点を見つめながらよどみなく話す。しかし、抑揚なく淡々と話すので、話す割りには内容が入ってきにくい。

50代前半の女性。中肉中背。髪型はおかっぱ。疲れた表情でやや伏し目がちに話すが、時々驚いたように目を見開いてこちらを見る。笑顔になるとパッと表情が若返る。青年期と老年期を行ったり来たりしている印象。

30代男性。背丈は平均的。細身で骨ぼったい。いつもしわのない無地のYシャツを着て、四角い眼鏡をかけてあまり表情を崩さない。両手を膝の上にのせてやや前かがみに座るので、顔のすぐ横に肩がある。その姿勢を崩さないのでいかにも窮屈で苦しそう。

50代男性。細身ですらっと背が高い。短髪に白髪交じりだが、落ち着いたシャツを着ておしゃれな印象。静かに笑みを浮かべてゆっくりとうなずきながら話をする。時々ふっと話すのをやめて何かを考える。

こういう臨床像を捉えます。なんとなくその人らしさが見えてきます。

特に事例検討をするときには、初回に会った時の臨床像を示すことによって、どのような雰囲気のクライエントさんなのかを表現します。

受け取る臨床像

この臨床像をうまく言葉にできないことがあります。服装や髪形など、目に見えることは書けますが、そこから受け取る印象を記述することがなかなか難しいことがあるのです。

人の印象を言葉にするのは難しいですよね。的確な言葉が浮かばない時もあれば、そもそもあまり印象がわかないこともあります。

臨床像はあくまでもセラピストの直観に基づいているからだと思います。それは、無意識的な領域で察知していることなので、なかなか言葉にならないのでしょう。

臨床像は描画にも

そんな時、描かれた作品が役に立つことがしばしばあります。セラピストが確かに受け取っているけど言葉にならない”何か”、直観的に受け取っている”何か”を知る手掛かりがそこに描かれているのです。

クライエントさんの臨床像が、その絵にも表現されていると仮定するのです。

見過ごすこと

特に、ふと気になったけどセラピスト側に防衛が働いてしまい、そこで気になったことや受け取った”何か”に注意を向けられず、そのままにしてしまうことがあります。

セラピストは大切な情報を深く考えないままやり過ごしてしまうのです。直接対面で会っていると、そういうことが起こるのです。

しかし、カウンセリングが終わった後、一人でクライエントさんが描いた絵を眺めていると、当然、防衛はあまり働きませんので、そのとき見過ごした”何か”を発見できることがあります。

臨床像と作品を重ねる

そのときは、直接会ったときの臨床像と、作品から受ける印象や作品の特徴をなぞりながら、繰り返し双方を行き来しています。

そうやって自分の中の臨床像と作品を何度も見比べながら自己内対話を続け、クライエントさんの臨床像をさらに豊かにしていくのです。

絵にはクライエントさんの特徴や心の傾向が描かれているという意味で補助的なものです。セラピストが自分のクライエント像(臨床像)を豊かにすることによって、治療の補助とすることができるのだと思います。

 

 

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