1人暮らし17年
私は単身赴任生活を17年間しました。といっても、自宅は同じ県内にあったので、ちょくちょく自宅に帰っているような単身赴任です。単身赴任の官舎には寝に帰るだけ、という感じだったので、部屋の中にはほとんど何もなく、ガランとしていました。
1人だから別に何もいらないのです。冬は鍋ばかり食べていましたし、あとは餅とか袋のラーメン、パンとかで済ませていました。
調理器具はカセットコンロ、レンジ、トースター、鍋、フライパンがそれぞれ一つ。お皿は大きな四角の平皿とほか数枚程度。コーヒーカップが1つ。あとは給食用のお箸セットがありましたので、他には何にもありませんでした。服は数着ある程度。タオルは2,3本・・・。
独身時代も一人暮らしをしたことがありましたが、この時はテレビもなかったので、部屋に来た友人は、本当にこれで生活しているの?と驚いていました。
今でいう、ミニマリストに近い生活だったと思います。
『家事か地獄か』
最近、妻から『家事か地獄か』(稲垣えみ子著,マガジンハウス,2023)という本を紹介されて読みました。こちらは本物のミニマリストが書いた本です。元新聞記者で髪の毛をアフロヘアにしている人です。
スーッと読めるはずの本なのですが、一つ一つのトピックが心にささって、なかなか先に進みませんでした。
影響を受けたこと3選
この本から影響を受けたのは次の3点でした。
1.持ち物がミニマム(最小限)になると、生活がシンプルになり家事が減る。生活がシンプルになり家事が減るということは、たとえ多少の認知症が進行したとしても、身体が衰えたとしても、いつまでも自分の面倒を自分でみることができる。
2.生活がシンプルになると時間とお金にゆとりができる。生活の中で「やること」と「やらなくてよいこと」の間に区別がつく。この区別が生活にメリハリを生み生産性を高める。それが自尊心も高めてくれる。
3.ミニマリストの生活は身体(五感)を使い五感に頼る部分が多くなる。そのため、五感が鍛えられる。現代社会の中で生活していると、五感は漠然としたものになりがちだが、そういった失われつつある感覚を取り戻すことができる。
なるほどです。「ミニマリストはモノが少なく気持ちの良い生活を送れる」くらいにしか考えていなかったので、ちょっと衝撃でした。この3点はどれも目指したいことですから。
本をどうするか
仕事柄、大量の本を持っています。家にも職場にもあります。読めていない本もかなりあります。興味のある本に出会うと、読む時間がないにもかかわらず購入してしまうからです。
どの本も興味があり、パラパラとめくってみるとやはり面白そうです。でも、それよりも優先させなければならない仕事がたくさんありますので、なかなか読めません。
すると、「読みたい」よりも「読めていない」という気持ちが心の中にたまっていきます。その読めていないという気持ちを打ち消すように、おもしろそうな本が出ると買ってしまいます。我ながらダメだなと自分にがっかりです。
最近では、本を買うというよりも「読めていないという残念な気持ち」をわざわざ購入しているのではないかと思ったりしています。
思い切って断捨離すると
心の中がこういう気持ちで膨らんでいる状態ですから、思い切って整理することもあります。
そして本を処分すると、あるあるなのですが、処分した直後に、「あの本が必要だ!」という場面に遭遇するんですよね。不思議です。そのような本も、結局はなければないで何とかなってしまいます。
心の状態は生活空間に現れる
私にとっては、心の中をすっきりさせておくためには、本や書類の整理をしなければなりません。心の整理は部屋の整理から。心を清めたかったら、外で落ち葉を掃き清める。
思い切って、必要な本だけ残して、あと9割くらい処分したらどうなるのでしょうか。処分したらしたで、その先があるのでしょう。まだそこまで踏み込めませんが、いつか思い切ってやってしまいそうな自分をどこかで感じています。